やぎさわ便り八木沢里志 公式サイト

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2024.10.07 Mon.

頭をカラッポに

またちょっと日記を書く感覚が空いてしまった。

空いてしまったここ一週間くらい、何をしていたかと言えば、頭をカラッポにする練習をずっとしていた。いわゆる禅の修行。とはいえ、仕事や日常生活は普通に送っていて、単純に家で一人の時間にそうして練習する時間を多めに取っていたというだけ。

なぜかと言えば…とにかく思考がうるさくてたまらなかったから!

もともと左脳優位人間なのか、いつもいつも考え事ばかりしてしまって、一人でクタクタになってしまう人間なのだけど、ここ最近は特にそれが顕著だったので、

「よし、気合いを入れて思考を減らそう!」

 と思ったのです。何しろ朝起きた瞬間から、自動思考が波のように押し寄せてきて1日を無意識に思考に飲まれて送ることになってしまうので、そうならないためには自分に強く念じるしかない。

なので、午前中からしっかりと集中できる時間をとって、自分の思考と向き合い続ける一週間を送ってみたのです。ああ、疲れた。でも得るものは大きくて、だいぶ頭の中の思考をカラッポにできるようになってきた。

ということを言うと、「そんなに頭の中ってうるさいものですかね?」と不思議がる人がいるけれど、おそらくそういう人は、自分の自動思考にも気づけていないのだと思う。ポジティブな人はそれでもいいのかもしれない。でも普段からネガティブな思考が浮かびやすい人は、思考まみれだと人生そのものが不幸になってしまう恐れがある。そう、僕のように根が心配性で、それなのに思考をやめられない人間は特に。

とにかく、そのように努力をしてみた結果、おかげで思考がだいぶ減った、というか、思考を気にしないコツを掴むことができた気がする。

やったことは言葉にするとすごく簡単。意識を思考(頭)でなく、お腹や体の方に向ける練習。ヨガでもよく紹介される、ボディー・スキャンというやつ。でもこれ、左脳重視の人間には本当に難しい。何しろ自分の体の感覚なんて放置して、いつも考え事に浸っているのだから。

というわけで、その苦手なことをとにかく頑張って続けてみた。今までも取り組んでは挫折していたけれど、今回はもっと本気で。家でじっと椅子に座って体に意識を巡らしたり、長い散歩に出て歩きながら足の裏や体の動きに意識を向けてみたり。

こんなことやっても無駄じゃない?と思うくらい、最初は全然ダメだったけれど、ここ数日あれ?という感じに思考が静まる瞬間が増えてきた。似ている感覚としては、自転車に乗る練習をしていて、今まで全然乗れなかったのに急に乗れるようになる、あの瞬間。あるいは、楽器を練習していて、全然弾けなかったのに、何にも考えなくてもいつの間にか指が動くようになっていた瞬間。そんな感じで急にストンとコツがつかめた。

そうして振り返ってみると、今まで必死に無思考状態になろうと思考を消すことばかり考えていたけれど、その考え方がそもそも間違っていたんだなと。思考っていうのは、人間が生きていて脳が正常に機能している限り消すことはできないものなんだと気付いたというか。

思考は消せない。でも、それでじゃあ思考まみれで生きる必要はない。なぜなら思考をミュートすることは案外意識すればできる。つまり、ネガティブなことだったりを頭がどれだけ考えていようと、その音量を絞ってしまえばいいんだな、と。

そこで大事なのが、頭に向いている意識を体に向けること。頭でどれだけおしゃべりが続いていても、体の方に意識を向ける。苦手でも、こんちくしょーと思って何度でもやる。

そうしたら脳がすごく静かな時間が増えてきた。考えているけれど、ミュートで最小限に音量を絞っているので、自分に影響が出ないという感じ。代わりに意識は体へ。すると、呼吸をしたり歩いたり走ったり食べものを消化したり鼓動をしたりと、体が今まで自然にしてくれていたこと、自分が意識もしなかったことに、なんだか感謝したい気持ちになってきた。いつも思考でいっぱいで気にもしていなかった間も、ずっと体はがんばって自分を生かしてくれていたんだな、と。

うーん、あんまりうまく言えないのだけれど、とにかくそんな感じ。この文章を書いている間も、けっこう頭はカラッポ。それってすごく新鮮な体験。

というわけで、今後も思考を小さくする修行に励もうと思うこの頃なのでした。

2024.09.25 Wed.

木登りジウ

やっと涼しくなってジウとの散歩も捗るように。

ジウはけっこう木登りが好きで、お気に入りの木があると、にゃにゃにゃっと登っていく。僕の身長(174センチ)くらいまで一瞬で登ってしまう。猫の身体能力、すごいなあと毎回感心させられる。

最近は暑くてぜんぜん木登りしてくれなかったのだけど、今日は公園に行ったら久しぶりに木登りを披露してくれた!

大きな桜の木を見上げて、「ん〜」と一瞬悩んだあとで、「よっしゃ、行くか」って感じで急に木に飛びつき、にゃにゃにゃっと登っていく。「ジウちゃん、すごいよ!」と飼い主(僕)は横で大喜び。

しかし、木に登ったジウはどうするかと言うと、その場でじっとしている。その姿は木に張り付いたカブトムシのよう。なにしろ登ってみたのはいいけれど、自力では下りられないのである。なので、仕方なく、僕が木から剥がして(爪が木に刺さっているので文字通り、剥ぎ取る感じ)、下ろしてやらないといけない。

下ろされる間、ジウはずっと無抵抗。こうしてこっちが下ろしてあげるまでがワンセットなので、ジウもすっかり慣れたもので、下ろされるのを待っている。いいんだけどさ…。

というわけで、今朝もこの儀式をやってきた。ジウが見事な木登りを披露し、僕が下ろす。朝から楽しいね。

2024.09.21 Sat.

爆発!

今日の夕飯。スーパーで買ってきたちょっとお高い茶碗蒸しを一品に加えてみた。で、温める方法は「湯煎で」とはっきり明記してあるにもかかわらず、僕も妻も「いや、面倒だしレンジでいけるっしょ」と意見を一致させ、レンジにかけた。

30秒ほどしてレンジから、ボンッとギャグアニメとかで博士が実験で失敗した時になるような爆発音がした。慌ててレンジを開けたら、茶碗蒸しがレンジの中で爆発して中身が全て飛び散っていた。

ああ、なるほど。だから、「湯煎で」とはっきり明記してあったわけですね!と、すごく納得。夫婦でズボラだとこういうことがたまに起こるから恐ろしい。

結局レンジの中で四方に飛び散った茶碗蒸しの残骸をせっせと掃除することに。

食べ物を無駄にしてごめんなさい。と心の中で懺悔しながら、せっせと雑巾で拭いた夜。みなさんも茶碗蒸しはレンジにかけたらダメですよ!

2024.09.17 Tue.

浅草アンダーグランド

ああ暑い…。今日もうだるような暑さの1日。そんな中を、担当編集者さんと浅草に取材に行ってきた。前から約束していた日だったけれど、ああ、こんなに暑いなら別の日にしてもらえばよかった…。

それはともかく、浅草へ。目的は浅草の地下街。銀座線の出口から右に折れたところにある、とても古い地下街だ。なんでも日本で一番古い地下街なのだそう。そんな中を焼きそば屋さんやちょっぴり不思議なマッサージ屋、立ち食いそば、中古DVD販売店など個性的なお店が軒を連ねる。

その中にある四柱推命の占い屋さんで占いをしてもらってきた。この地下街にある占い屋という、もうそれだけでシチュエーションが最高の場所で、個人的にテンション上がりまくりだった。

ところが生年月日を伝えて占ってもらうと、「これからあなたはずっとついてない。何をやってもうまくいかない。経済的にも潤わない。3年後に病気にもなる」と言われる。しかも運が上向いてくるのは60過ぎてからだそう。

え〜、そりゃないよおと思っていると、次に占ってもらった担当編集者さんは「あなたは頭の回転が早くて、なんでもできる。これからず〜っといいことしか起きない」と言われていた。なんだ、この差は…。こっちは60歳までいいこと一つもないんだぞ。まあ、あくまで占いなので信じる信じないは、その人次第ということで…。

そのあとも、浅草周辺に詳しい担当さんの案内で、花やしき隅田川の河川敷、浅草演芸所などを見て回る。最後は純喫茶でアイスコーヒーを飲んで一息。いや、本当に暑かった。

というわけで、新しい作品の準備がまた着々と進んでいる。取材の成果が生きるのは、来年くらいかな。「来年末に出す感じでいきましょう」と担当さんとも話した。そのくらいまでに出せればいいなあと思う。

しかし占いの結果によると、来年もろくなことがなくて、新しいことをしても失敗するらしい(笑)。夢も希望もない。まあ、信じないけどね!

2024.09.16 Mon.

トルンカとスランプ

今日はやっと秋の気配が感じられる涼しさ。ジウとの散歩も捗って、ずいぶん遠くまで行った。途中、前を通ったお宅おばあさんがすごくニコニコした笑顔で近寄ってきて、ジウもいつものように愛想良く「にゃあ」と挨拶。

猫は好きだけどユーチューブなどの動画で観るくらいで直接触れ合ったことはあまりないみたいんで、ジウに挨拶されてすごく喜んでいた。その後、気の乗ったジウが目の前でお腹を出しての出血大サービス。最初は恐々手を伸ばしていたおばあさんも、「こんなにやわらかくて毛並みがいいのねえ」とその手触りの虜になっていた。ジウさん、また近所にひとりファンを獲得。

お知らせにも書いたけれど、『純喫茶トルンカ』の新作が来月に刊行されることに。なんだか本当に長くお待たせしてしまい、ずっと待っていてくれた方には感謝しかない。

こんなにも長く待たせてしまったのは、いろいろ理由はあるけれど、結局僕が長いスランプに陥ってしまい、ずっと書けなかったせい。ようやくそのスランプから抜け出せたけれど、本当にその道は長かった。(それについてはまた別の機会にでも書けたらと思う)

もう自分はあんまり「売れて欲しい」みたいな欲は持たず、粛々と創作をしていけたらなあと思っている。もっとも出版してもらっているので、出版社の損になったりしないくらいはやっぱり売れて欲しいというのはあるけれど、でもそれも自分のためとかではないなあ。暮らしていければ十分だし、ありがたいことにそれくらいの収入は今得ることができている。

とりあえず、僕にできることはまたスランプにならないよう、心と体に気を配ること、そしてなるべく楽しく創作を長く続けていくこと。

スランプにならない秘訣は、適度な運動、食事や睡眠、思考がネガティブに偏らないように日々瞑想などで整える、そして毎日感謝を忘れずに。当たり前のことなのだけど、意外とむずかしいこと。それでもこれからもいい作品を書くために続けていこうと、気持ちを新たにしたりしなかったりした日でした。

2024.09.15 Sun.

良い習慣

なんだ、今日も暑いじゃないか!約束が違う!9月の中旬っていうのは、秋の気配をはらんだ涼しい風が吹いてくる季節だったはずじゃないか。少しずつ木々の緑の色も落ち着いてきて。近所の公園のどの木もびっくりするくらい緑をわさわささせている。

そんなわさわさ深緑色の木々の生える中、じりじりと肌をやく太陽の下、今日もジウの散歩。できれば日陰を歩きたいのだけど、そんなものはジウさんにはお構いなしで、ひなただろうが日陰だろうが、自分の行きたいところにはグイグイ行く。

しかも途中で「もう抱っこし連れて帰ってくれ」モードになって、突然道端でグテンとし出すので、そこからは5キロ弱のジウを抱っこして炎天下の中、家まで歩かなければいけないという…。

まあ、朝に必ず外に出て太陽を浴びる習慣が身についたと思えば、いいのだけど。それにしても暑いよ…。

習慣といえば、今まで人生ではじめて一番よかった習慣といえば、瞑想。

いつもうるさい頭のおしゃべりを止めたくてはじめた習慣だけど、本当にすごい効果を発揮してくれている。頭のおしゃべりもだいぶ静かになったというのももちろんあるけれど、それ以上に明らかに人生の幸福度が増した。毎日、幸せだな〜と思って過ごせる時間が確実に増えたというか。

そして今まで自分がいかに怒ったり、イライラしたり、心配したり、クヨクヨしたり、と思考に振り回されていたかがよくわかるようになった。わかって、冷静にそれを客観視して、手放せるようになった。そう、瞑想とは少し自分と距離を置いて、自分の気持ちを客観的に見られるようになるテクニックなのだ。スピリチュアルとか神秘的なものでもなんでもなく、ただ心の技法として、本当に素晴らしい。

おまけに心にこだわりがなくなったので、悪習慣だったり悪癖みたいななかなかやめられるようになって、遊びに行ったりだらける代わりにジムに行って運動したり、さらに良い習慣が身についた。というわけで、ジウの散歩のように、朝の瞑想タイムは欠かせないものになった。

毎朝30分。これからも続けていこうと思う。今目の前にある幸せをより感じられるって本当に素晴らし。良い習慣って大事。

2024.09.12 Thu.

今日を生きる

いやいや、9月だというのになんて暑さ!真夏じゃないか。しかもバタバタしていて、なかなか日記を書く時間も取れなかった。少し余裕が出たので、また日記書いてくぞー。

こんな暑い日だというのに、ジウさんは相変わらず散歩をご所望。なので暑い中、今日も散歩へ。最近は近所のジウ・ファンからの声援も多い。しかしジウときたら、ちょっと挨拶すると、すげなく通り過ぎていく。さすがクールだね!漢だね!と心の中で思う私であった。

ところで、知り合いが最近何をやってもうまく行かないと悩んでいたのだけど、でもそういう時期って人生ではあるよね…。

むずかしいことはわからないけれど、人生とは大きな流れがあらかじめ決まっていて、うまくいく時もあれば全然うまくいかない時もあるものだと思う。自分の体験談的に。

そういうもんだと思って、うまくいかない時にあまり落ち込みすぎず、心配しすぎずに生きるのがいいんじゃないかなあと思う。

それこそ鳥がなぜ自分が飛んでいるのか考えないように、なぜ生きてるのかとかあまり深く考えず。ただ、目の前のことを粛々とやっていく。

欲にからめとられすぎず、いいことがあっても有頂天になったりせず、いつも人の幸せを願って。それが自分にとっては理想の生き方であり、人生かな。そんなことを思った日でした。

2024.08.29 Thu.

いつもの散歩

今朝はまだ台風の影響もなかったので、ジウといつものように散歩へ。明日からは大雨の予報が出ているので、しばらくジウの散歩も無理そう。いつも散歩行かないと「ワウワウワウ!」とジウはわかりやすく抗議してくるので、納得させるのに苦労しそう。

それにしても九州の方は台風の被害が早くも出ているようだ。あまり被害が出ないことを切に願う。天災だからしょうがないとはいえ、それによって普通の日常が失われてしまうのは誰にとっても苦しいものだ。

自分が被害にあわないで済んだからと言って、それで喜ぶのではなくて、人のことも考えられる人間でいたい。

日常といえば、ジウとの毎日の散歩も当たり前すぎていつもボンヤリ行って帰ってくるだけだけど、その一回だって人生でただ一度の一回なんだよね。ジウとだってずっと一緒にいられるわけではないし(いられたら嬉しいけど)、そんな何気ない日々の散歩も大切にしたいものだ。というのも、寝起きで行って本当にいつもボンヤリして帰ってくるので笑。

そういえば、今日も「猫も散歩するんですね」とにこにこ顔で近所の方に話しかけてもらった。ジウといると、そんなふうに小さな交流が生まれることが多い。

それもまた、ささやかだけれど大切な日常の出来事。そんな小さな交流でも、人の心は温かくなれるってこともまた、一つの事実だから。

2024.08.27 Tue.

オアシス再結成

また大きい台風が来ると聞いて、戦々恐々としている。先日の台風の際、うっかりピークの時間に車で出かけていて、大雨で大変な目にあった。一瞬にして道路が冠水してしまうし前は豪雨で見えないわで、ちょっと命の危険さえ感じるほどだった。ちゃんと台風の進路見て、無駄な外出は控えないといけないと反省。

などと思っていたら、イギリスのロックバンド・オアシスの再結成の報道が。これまでも噂になることはあったが結局はデマだった。今回はノエルもリアムもこの報道に反応しているとのことで、相当信憑性があるとのこと。いや、楽しみだ。我が青春の思い出のバンドのひとつ、オアシス。

去年はもう一つの青春の思い出のバンド、ブラーも再結成を果たし、おまけにもう出ないと思っていたニューアルバムまで発表してくれた(そしてこのアルバムは、過去最高といっていいほどの素晴らしい作品だった)。

オアシスも懐かしい曲だけをライブでやるだけでなく、できればニューアルバムも出してくれたら嬉しいなあと密かに期待!続報が待ち遠しい話題だ。

2024.08.26 Mon.

百日紅(さるすべり)の花

うちの家に前の家には立派な百日紅(さるすべり)の木が植っていて、この時期になると毎年、白い花が咲く。夏の間、ずっと咲いていて、最近ちょっとずつ花びらが落ちるようになってきた。

去年までよくその落ちた白い花弁をその家のおじいさんが朝から箒で掃除していた。ジウの散歩の時間とかぶるので、ほとんど毎日顔を合わせていた。

おじいさんは少し痴呆がはじまっていたらしく、顔を合わせるたびにこちらのことは忘れているようだった。それで「猫も散歩すんのかい?」と聞いてくる。毎回。こちらも「そうですね、猫だけどこの子は散歩するんですよ」と答える。するとおじいさんは、はははと笑う。結構気難しそうなおじいさんなのだけど、笑うとやさしい表情になるので、毎回そのおじいさんの笑顔が見たくて、何度でも答えていた。

今年はそのおじいさんの姿が見えない。なので、百日紅の落ちた花もそのまま、道路にたまっている。少し前まではその姿を庭先で見かけていたのだけど。お年だったし、ホームにでも入ったのかもしれない。なんにせよ、お元気にしていればいいなあと思うのだけど。

ずっと当たり前で変わらないことなんてないのだけどね。それでも、やっぱりおじいさんのあの笑顔がまた見たいなあ、とジウと散歩しているときにふと思ったりする。